近年、レーザ光により各種材料を切断、穴あけなど切削したり、部品や製品に記号・ナンバリングの印字、マーキング用途等に広く利用されています。光で各種材料を加工等行うにあたってのパラメータの一つに、レーザ光の波長があります。各種材料毎に波長の吸収率は異なりますが、大雑把に言いますと波長が短ければ短いほど材料の吸収率は高くなりますので、加工性が向上します。しかし、より波長の短いレーザ発振器の製造は、技術的制約やコスト面などからどんな波長のレーザでも作れるものではありません。
本JPUサイトでは、レーザ加工装置、レーザ関連製品を紹介しております。
次の表は主に加工用の代表的な各種レーザの説明となります。
個体レーザ | ||
レーザ種類 | 波長 | 特性など |
YAG(ヤグ) レーザ |
1064nm (1.06μm) |
YAGは、個体レーザの代表的なレーザとなります。出力に応じてYAGレーザは鉄板の切断、溶接から穴あけ、印字など産業界に広く使われています。樹脂から金属まで幅広く加工が可能ですが、ガラスなどの透明体は透過してしまうため基本的に不向きです。 Y(Yttriumイットリューム)、A(Aluminiumアルミニウム)、G(Garnetガーネット)の頭も文字を取ってYAGと呼ばれています。 |
ファイバレーザ | 複数あり | 光ファイバをレーザ発振器としているため、ファイバレーザと呼ばれており、光ファイバにドープ(添加)する元素による発振波長を変えることができます。代表的なものは、Yb(Ytterbiumイッテリビウム)をドープしたファイバレーザ(発振波長1090nm)で、マーキング用途に使われております。 |
LD(半導体) レーザ |
複数あり | YAGレーザやCO2レーザは、高出力化は比較的容易にできますが、定期的なメンテナンスが必要となります。一方、半導体レーザは特別なメインテナンスが必要ないとうメリットがあげられますものの高出力が大きな課題でありますが、近年半導体レーザの高出力化が実用化されており、材料の熱加工(表面硬化)、表面被覆加工、スポット溶接などに使われ始めております。
一般的な半導体LD光源には次のようなものがあります。 |
気体レーザ | ||
CO2(炭酸ガス)レーザ |
10600nm |
一般的に販売されているレーザの中で最も長い波長のレーザです。波長が長いため金属にはほとんど吸収されないため金属加工には本質的に不向きですが、レーザパワーを高出力化することで金属への応用が可能となり金属溶接などに使わております。また、ガラスやPETなどの透明体の加工にも使われております。 |
He-Ne(ヘリウム・ネオン)レーザ |
630nm |
ヘリウムとネオンの混合ガスを用いたレーザで出力は低いが安定性に優れているため干渉実験や形状測定などに使われております。 |
エキシマレーザ | 193nm | エキシマレーザは波長が短いため、YAGやCO2レーザでは加工ができない材料の加工ができたり、レーザ加工では最も細密な光学的加工ができます。加工用以外では、眼の視力矯正(レーシック)に使わております。 |
アルゴンレーザ | 488-514nm | 理化学、バイオ関係、医療応用などで使われております。 |